…………。
ん?
しかし、桂木さんはいっこうに動かない。
「ありがとうございまーす」
もう一度繰り返してみたけれど、全然耳に入ってないみたい。
ただひたすら食器を洗ってるもん。
レジから戻ってきたうるるんも気にして、ちらちらと桂木さんのほうへと目を向ける。
「『ありがとうございます』や」
う。ついにまた、トシくんがキレた。
「だからっ!『ありがとうございます』って言われたら何すんねん、おっさん」
……。
あかん。全然聞こえてない。
ドスの利いた声を無視して、桂木さんは黙々と食器洗いを続けていた。
きっと慣れないことをしているから、そのことだけに必死になっているんだろうとは思うけど……。
「お、おい」
あまりの無反応ぶりに、逆にトシくんがひるむ。
「あ」
そのときやっと気づいたのか、桂木さんがトレイを取ってホールへと向かった。



