「ほんなら堂々と帰らせてもらうわ」
学生たちは悠々と店から出て行く。
そうして最後に振り向いて、捨てゼリフを吐くのを忘れなかった。
「「こんな店、つぶれてしまえっ」」
暴力沙汰になるかと思って、一応男の後ろに控えていたオレは、思わずつぶやいた。
「死んだらええねん」
「ほんまや、死んだらええねん」
何の躊躇もなく男が繰り返したから、なんだかちょっと可笑しくなる。
そっとうかがうと、男はかがんで、床に落ちたユニフォームを拾い始めたところだった。
む、手伝うべきか……?
オレが迷っていると、突然男が奇声を発した。
「あああ―――っ」
「えっ?」
すんごい勢いで立ちあがり、ガバッとオレを振り返ると取りすがるように聞いてくる。
「あ、安西くんって人、今帰った中にいた?」
「は? 安西はオレやけど」
「へっ、キ、キミ?」
オレがうなずくと、男はオレの二の腕を両側から、はっしと掴んだ。
でっかい手やし、すげー力でギュウッとつかむから、かなり痛いゾ。
な、なんやねん?



