「確かにキレイな子やけど、まー時給上げるんは富樫さんの下心やな」
特に感じのいい接客ができる子ではなかったから。
「見て……。オッサンぽかんと口開けとる」
うるるんがクスッと吹き出した。
「え~と、申し訳ないけど、今日からは標準の時給に戻ってもらえませんか? 今後の仕事ぶりを見ながら昇給を判断したいと思います」
それでもきっぱりと男は言った。
「えっ、信じてもらえないんですか? わたし目当てのお客様がたくさんいるってこと。わたしが辞めたら、確実にお客さんが減りますよ」
「あ、いや、えーと、可愛い子は、もううるるんをキープしたので大丈夫です」
男は少し早口になる。
「は? わたしとうるるんを一緒にする気ですかっ」
女子大生は、バンッとテーブルを叩いて立ちあがった。
「え、ボクには違いがわからんけど……」
「はぁ~? あなた、美的感覚おかしいんじゃないですか? 目、見えてます?」
憤慨する女子大生の言葉に、さっき席を立ったやつらもゲラゲラと笑い出した。



