-静香 side-
小さい頃からずっと一緒にいた大翔は、高校に入るとある名前が付いた。
“王子様”
誰が言い始めたのかは知らないけど、王子様って…
大翔が!?
ないないない!
ただ、周りの女の子にイタズラして私は大翔の隣にずっといた。
だって、大翔を奪うにはそれ相当の気持ちがなければ無理だもん。
誰にでも優しく微笑んでいた大翔だけど、今まで女の子と付き合わずにいた。
別に私は大翔に恋なんてしてない。
ただ、可愛い弟…みたいにしか思ってない。
だから、大翔が晴琉ちゃん…だっけ?
あの子に一生懸命に毎日、廊下で待ち伏せて振られる姿に少し笑えた。
あんなに女の子に一生懸命な姿なんて見たことがなかったから。
でも、今日は違ったみたい。
晴琉ちゃんが話を聞いてくれて、想いを伝えて二人で笑い合っている。
良かったね…大翔
大翔の恋が実ったなら、次は私の番だ!
どこかに良い人いないかなー?
大翔と晴琉ちゃんを見届けて、廊下を戻ろうとした時…!
なーんてね?
そんな事あるわけないっかー…
-静香 side end-

