それってまさか…
よく言う…
「両想いっていうんじゃ…」
『うん』
「ありえない!」
そんな上手い話があるか!!
ないないない!
目の前のにっこり微笑んで私を見る王子様の顔に、嘘はないみたいだけど…
『じゃぁ…これでわかる?』
へっ?
反射的に顔を上げたその時!
前髪を指で上げられて、額に柔らかい感触が…
王子様の唇が私の額に!?
『俺と、付き合ってくれますか?』
驚いて声が出なかった私に、王子様がそっと右手を差し出した…
えっ?
えぇぇ!?
いいの!?
私、明日命ないかも…
恨まれるし憎まれるしいじめられる!?
それはやだ。
「周りの目が怖いので、友達からなら…」
『真面目だねー…
でも大丈夫!
俺が守ってあげるから』
嬉しい…
バカにされてばっかりの毎日が、今日はすごく輝いてる。
ゆっくりと王子様の手に左手を乗せると、ぎゅっと握ってくれた…
王子様の手の温度が伝わってくる…
「私、王子様に会ったとき“恋の香り”がしたんです」
『恋の香り?』
「はい…
絶対、運命の人だって…
あっ!バカだと思いました?」
私を見て目を細めて、クスクス笑い出した。
私だけに向けてくれている…
もっと、たくさん王子様を笑わせて笑顔にしたい…
ずっと、隣に居てほしい。
『恋の香りかー♪
俺は一目惚れ』
「一目惚れ?」
『うん。
俺も運命感じた』
運命の人…
うん。
やっぱり、あの香りは“恋の香り”

