コラボ小説 【恋する3秒前…】




自分だけに向けてほしい優しさをもしかして求めてる!?


バカみたい…


また、かっちゃんに笑われるよ。


髪ゴムを外して、足を止めて俯く…




すると後ろから、誰かに腕を掴まれた…




『俺のこと、嫌いになったよね』




振り返るよりも先に聴こえた、王子様の沈んだ声…


傷つけたのかな。


知らないうちに、いっぱいいっぱい…


視界が涙でだんだん揺らいでいく…


自分が言った一言で、自分が起こした行動で…


言葉は簡単に人を傷つけてしまう。


自分は悪く言ってなくても、人は捉え方によって悪く聞こえてしまう。




「ひく…ひくっ…」


『…泣かないで』




腕を強く引っ張られて、気づけば王子様の胸の中に…


優しく優しく、右手で頭を撫でられて、左手で背中をぽんぽんと叩いてくれている。


優しすぎるよ…


王子様の甘い香りに…優しさに包まれて、涙が止まらない。




『ごめんね…』


「ひくっ、王子様は…ひく…悪くない…です」




謝らないでください…


私が悪いだけなの。


特別な優しさを求めようとしている私が…




『もう…関わらないから…』


「それは…一番嫌…」


『えっ!?』




関わらないってことは、もう会ったり話したり出来ないということになる。


それだけは嫌だ。


ずっと王子様を見ていたい…


モヤモヤする気持ちなしで、話して笑い合いたい。




だから!




「質問があります…」




涙を拭いて顔を上げて王子様を見ると、目がバッチリ合った…


綺麗な瞳が私を移しているのがわかった。


顔がすごい近い…


けど、今聞きたい…




「王子様は、静香さんと付き合っていますか?」