自分だけに向けてほしい優しさをもしかして求めてる!?
バカみたい…
また、かっちゃんに笑われるよ。
髪ゴムを外して、足を止めて俯く…
すると後ろから、誰かに腕を掴まれた…
『俺のこと、嫌いになったよね』
振り返るよりも先に聴こえた、王子様の沈んだ声…
傷つけたのかな。
知らないうちに、いっぱいいっぱい…
視界が涙でだんだん揺らいでいく…
自分が言った一言で、自分が起こした行動で…
言葉は簡単に人を傷つけてしまう。
自分は悪く言ってなくても、人は捉え方によって悪く聞こえてしまう。
「ひく…ひくっ…」
『…泣かないで』
腕を強く引っ張られて、気づけば王子様の胸の中に…
優しく優しく、右手で頭を撫でられて、左手で背中をぽんぽんと叩いてくれている。
優しすぎるよ…
王子様の甘い香りに…優しさに包まれて、涙が止まらない。
『ごめんね…』
「ひくっ、王子様は…ひく…悪くない…です」
謝らないでください…
私が悪いだけなの。
特別な優しさを求めようとしている私が…
『もう…関わらないから…』
「それは…一番嫌…」
『えっ!?』
関わらないってことは、もう会ったり話したり出来ないということになる。
それだけは嫌だ。
ずっと王子様を見ていたい…
モヤモヤする気持ちなしで、話して笑い合いたい。
だから!
「質問があります…」
涙を拭いて顔を上げて王子様を見ると、目がバッチリ合った…
綺麗な瞳が私を移しているのがわかった。
顔がすごい近い…
けど、今聞きたい…
「王子様は、静香さんと付き合っていますか?」

