コラボ小説 【恋する3秒前…】





『晴琉ちゃん!』




うっ…


まただ…


みんなと帰る時間ずらしているのに、いつもいつも廊下で私を待っている王子様…




「…」


『なんで最近、俺に冷たいの?』


「王子様はみんなに優しい…ですから」




今日は立ち止まって話を聞いた。


てか、今も誰かに見られてたら困るんですが…


明日、嫌がらせ受けたり…


王子様のファンクラブとかもあってもおかしくはないし。




『みんな王子様って言うよね?
俺、そんなふうに見える?』


「ん〜〜〜〜ん…」


『長いよ!』


「見えなくもないです」




実際、言われるまで存在を知らなかった私だ。


王子様なんて、漫画の世界だけと思っていたから…


御曹子だったり、医者の子だったり、大金持ちだったり…


近寄りがたーい存在。




『晴琉ちゃんは、大翔って呼んでよ…』


「はい!?」


『王子様なんて柄じゃないからさ』


「やです!」


『えぇぇ!?』




いきなり下の名前だなんて…


そんなに知らないのに、下の名前で呼ぶことはさすがに気が引ける。


名前しか知らないんだもん…

誕生日も好きな食べ物も…




「ごめんなさい。」




王子様と目を合わせずに、廊下を早歩きで立ち去った。


私、怒ってる?


会えて嬉しいはずなのに…


王子様が毎日廊下で待っていてくれているのに。


他の子からしたら羨ましいことかもしれない。


けど、王子様には静香さんがいるもん!


その人に向ける笑顔も、他の子に向ける笑顔も、みんな一緒で輝いてるもん。


自分がわからなくなる…