カイが斜め上を見てボーっとしているときは、なにか考え事をしているときだ。
こんな時は話しかけても大体無視か、『んー』とか『あー』とか曖昧な返事しか返って来ない。
………チラリ、横にいるカップルを見てみる。
腕を絡めて至近距離で内緒話をしてイチャイチャとしている。
あの人たち、付き合ってどのくらいなんだろう…
私たちは、もう1年以上経ってるのに…
会話もなく、初々しく繋がれた手から少し離れたお互いの身体。
って!人それぞれだよね!うん!!
てか、こんな往来であんなことされたら私絶対逃げちゃうし!!
カイはね、私に合わせてくれてんだよね、うん。
再び彼の方に視線を戻すと、先程と全く同じ表情をしていた。
「…」
自分だけやきもきとしていたのが何だか悔しくて、繋がっている手をギュッと強く握ってみる。
見上げると、無表情だった顔が、ほんのりと赤く染まった。
……んんん??もしかして、効果アリ!?
もう一度ギュッと握ってみると
「やめろバカ」
「ふごっ」
反対の手で鼻を押されて豚鼻にされ、撃沈した。
