「そんなに後悔するくらいなら追いかければ良かったんじゃない?」



自分も同じように隣に座って、そう告げる。


それに対して何も言わずに顔をしかめる。



……本当は、見てたんだけどね。


ナッちゃんが言った「さよなら」に、呆然として動けなくなったカイを。



「……ヘタレ」


「あぁ?」



うん、怖い。


さすがにここまで落ち込んでいるカイを見るのは初めてで、少しニヤニヤとしてしまった。



「キモイ。どっか行け」


「カイはさ、大事にしすぎなんだよ」


「……うるせえ」



1年も付き合ってキス…いや、手も繋いでないとか、ありえないでしょ。


普通はもう、最後までしてるもんなんじゃないの?



「それでも健全な男子高校生ですか?」


「……それが目的で付き合ってるわけじゃない」


「そばにいてくれるだけで良いって?」


「……」


「溺愛だね」


「黙れ」