「キスとか、ただ、それが目的で付き合ってると思われたくなかった」
「え…?」
「そうじゃなくてちゃんと、好きだから付き合ってるって、分かって欲しかった」
いつも無口で自分の感情を露わにしないカイが、こんなにも伝えようとしてくれている。
その事実に胸が締め付けられた。
「で、も、カイ、好きだって言葉も…全然…」
「言葉じゃなくても、伝わってると…」
そんな…あんたただでさえ無表情なのに…
「分かんないよ…」
真剣にそう伝えてくれるカイに少しだけ呆れた吐息を漏らす。
そんな私を見てほっと息を吐いてさらに続けた。
「記念日のとき…」
「うん…」
「いつもと違うナツが可愛くて…ついからかった」
「あ…あぁ、」
それはもう、思い出してくれなくていいんだけどな…
心の中で苦笑いしつつ、可愛いといってくれたことが素直に嬉しい。
「怒らせてごめん。でも、いつものナツで十分だから…あんまり可愛くすんな」
