「なんで…っ、カイなんて、好きにならなきゃ良かっ――」
―――――――――……
「んんっ」
突然言葉を封じ込められ、力強く抱きしめられて身動きが取れない。
やだ、なんで、なんで
もう、意味わかんないよ
「~~っはぁ!」
初めての感覚からようやく解放され、足りなくなった酸素を思いっきり吸う。
「ナツ…っ」
息も絶え絶えな私の両頬を掴んで、熱い吐息のかかる位置でカイは口を開いた。
「頼むから、そんなこと言うな…ほんとに、俺…」
少し潤んだ目でそう訴え、鼻を擦り合わせてくる。
「別れるとか、勘弁して…」
「カ、イ…」
捨てられた子犬のような目をする彼に、今まで頑なだった心が溶け始める。
でも、頭は混乱したままで。
無意識に、私の両頬を掴む震えた手に自分のそれを重ねた。
