――その言葉に、抵抗していた動きも思考も一気に停止する。
…………え?
「ナツが、隣にいないとか…考えられない…」
痛いくらいの力で抱擁される身体。
それは、まるでカイの心中を物語っているようで…
「別れるとか、絶対、無理だから…」
震える声。震える腕。震える背中。
私、じゃなくて……カイのもの。
……なに、それ
どーいう、こと…?
今、こうして別れたくないと震える彼と
昨日、他の女の子に優しい笑みを向けていた彼。
――どっちを信じればいい?
「…騙してたんじゃ、ないの」
「…だから…それ、何?」
肩から顔を上げ、俯く私を後ろから覗き込んでくる。
「騙すとか、騙してないとか…俺はナツにそんなことした覚えない」
「じゃああの女の子は?」
間髪入れずにそう問う。
正直、今はカイが何を言っても信じられなかった。
信じてた。ちゃんと信じてたよ。
でも、あんな光景見ちゃったら、今までのこと全部ウソだったのかなって
裏切られた気分になる。
