私の様子を伺うかのように発せられたその言葉。



え……


話って、なんだろう……


怖い、振り向けない。


またあの女の子がそばに居たらどうしよう。


さすがに、立ち直れない。


怖い、もう、傷付きたくないよ――



フリーズして動けなくなったナツに、カイは手で髪をクシャっと乱して続けた。



「そのままでいいから、聞いてほしい」



ドクンッ


全身が心臓になったかのように大きな鼓動がする。


蓋がされたように耳鳴りが響いて、カイの言葉を受け入れたくないと本能が叫んでいる。



「俺は――」


「いっ、嫌だ!!」



カイが口を開いた瞬間、反射的にその場から逃げ出した。



「っ、ナツ!」



怖い、聞きたくない、嫌だ嫌だ嫌だ


お昼休みの喧騒の中、絶対に捕まりたくない一心で足を動かした。


……どうせ、追っては来ないと思うけどさ


走りながら切なくなった胸に、ぎゅうっと瞼を握る。



「――待てって!」



え―――――…