チャイムが鳴って、お昼休み独特の騒がしさが耳に入り、ようやく自分があれからずっと寝ていたんだと気づいた。


あ……やばい、マスクによだれが……



「ナツ~ご飯食べよ」


「ごめん、ちょっと顔洗ってくる」



よだれまみれ(汚い)のマスクを手で隠しつつ、教室から出て近くの水道へと向かった。



バシャバシャ


あー、なんか、生き返る…


昨日眠れなかったから、良く寝たな~



と、かろうじてポケットに入っていた女子力で顔を拭きながら、ボーっとする頭をなんとか覚醒させようとしていたとき



「……ナツ」



名前を呼ばれ、顔を拭いていた手が止まる。


分からないはずがない。


だって……大好きな、声。


その声を聞くだけで…涙が溢れ出す。


あーあ。せっかく、顔洗ったのに。台無しだ。



「話が、あるんだけど…」