私には、到底かけてくれるはずのない声。


あんな風に腕、絡めたことなんてない。


お弁当だって、作ったことあるわけない。



「釣り合わなかったんだ。ミカが昨日してくれたようなお洒落を毎日して、努力して、カイに見合うような女になってたら、違ったんだろうな…」



澄み切った夏の青空を遠く眺めながら、今さら自己嫌悪に陥る。


もう、遅いのに……



「カイくんは、あんたのそうじゃない部分に惹かれたんだと思うよ?」


「そう、なのかな」


「諦めるの?あの子に、渡すの?」


「渡すもなにも、最初からあの子のものだったんだよ」



スカートの中が見えることもお構いなしに、体育座りをして顔を埋める。


もう全部がどうだっていい。そんな様子のナツにミカは立ち上がった。