「……苦しい。辛い。めちゃくちゃショック」


「うん…」


「今まで気づけなかった自分にも、騙されてた自分にも、騙してたカイにも」


「うん…」



言葉を続けようとすると嗚咽が漏れた。


今までのカイが全部ウソだったなんて言わない。でも、それ以上の優しさをあの子にしていたと考えると……心臓が、抉れるように痛い。



「っ、浮気する男なんて、サイテーだ…っ」


「…うんっ」


「……好きだったのに。すごく、好きだったのに」


「……んっ」


「カイのバカやろ―――!!」



ミカのシャツを濡らしながらわんわん泣き叫んだ。


同じようにミカも私のシャツを濡らしながら泣いてくれてた。



5限目の授業が始まるチャイムが鳴って、ようやく落ち着いた頃。



「まだ、浮気とは限らないんじゃないの?」


ミカがナツを気遣うようにそう言った。



「……あんなに優しい声、初めて聞いたんだ」