「よし、ついたー!」

「グラウンド近いね。駅で、一駅で行けちゃうんだ」

「そうなんだーだから、よく見に来てるの」

駅をでて、十分ほど歩いたらグラウンドらしきものが見えてきて、階段をのぼって観客席に私たちは座った。
もう、ユースの人たちは練習を始めていてダッシュをしているようだった。
周りを見ると、観客席にいるのは私たち以外誰もいなくてユースの人達にチラチラ見られていた。

「めっちゃ、見られてるね。」

「いつも、こんな感じだよ」
すごい、勇気。私、絶対無理だな…。


そして、練習が終わり試合をすることになった時隣で美音が騒いでいた。
「どうしたの?」

「試合だよ!楽しいじゃんー」
そういって、目をキラキラ輝かせている。
サッカーはあんまり見たりしないけど、ルールぐらいは知ってる。


ピーッ!
試合開始のホイッスルが鳴る。
それと、同時に赤のユニフォームを着ているチームがボールをすごい速さでパスを回しだした。 

 
「すごい!なにあれ!」
初めて見る速い動きにびっくりしてしまう。
「でしょ!これを見て、格好良くないなんて言えないもんね。」
隣で、美音が得意そうに笑う。
本当にすごい。なに、あのパス。
黄色ユニフォームの方は圧倒されてて、追いつけてない。
それでも、おかまいなしにゴールの方へと走っていく。
倒されてる時、その速い動きが止まった。
「うわっ、止めた!」
相手の黄色いユニフォームをきた内の一人が軽く動かして止めたのだ。
さっきまで黄色はまるで歯が立たないようだったのに。
「すごいでしょ。あの、黄色の9番。これ、二年生対一年生なんだけど、いっつもあの子が取って一年生チームが勝つんだよ」
美音の話を聞いて、目が離せなくなった。その子に。
「桐沢くんって言うんだ。」

「・・・桐沢、くん。」
そして、見つけた。爽やかに走る彼を。










彼の第一印象は
「・・・格好いい。」
私は、初めての衝撃を受けた。