駅につくと、ほぼ誰もいなかった。
私の地元はここからすごく遠いところで毎日一時間半かけてこの高校に通っている。だから、帰る時間でも駅には同じ学校の人はいない。

ベンチに座って電車を待っていると
「ちょっとー!希李!」 
階段の方から聞こえた高い声に振り返る。
そして、猛ダッシュで階段を降りてくる美音が見えた。
「なんで、先帰るのよ!ひどいじゃん!」

「ゴメンゴメンーでも、告白でしょー?邪魔ってゆう空気を察したのー」

「そうだけどさー先に帰ることないじゃん」

「で?返事は?」
私は、美音に顔を近づけた。
美音は後ずさりしながらも横を向いて照れくさそうにしていた。
「こ、断った」

「ぇえーなんでよ、あの人サッカー部でしょ?」

「そうだけど!なんか、ときめかないんだよねー」

「ふーん、サッカーファンだからサッカーやってる人好きって言ってたのにね。」

「まぁ、ねーあ、そうだ!今日希李暇?」

「え、うん。暇だけど」

「今日ね、あの有名なサッカーチームのユースの練習があるんだー見に行かない?」

「え?まぁ、いいけど。ユースでしょ?」

「いいのー」
なぜか、嬉しそうに話す美音。
本当にサッカー好きなんだなって思う。