ハピネス

神は徐(おもむろ)に座っていた立派なイスから立ち上がると、大きな窓から見える天界の景色にだけ目線を注ぐ。


「心配しなくても、魔法によって彼女の記憶は眠る直前の部分だけ消される。起きたら前世の想い人と再会した事もパニックになった事も、覚えていないだろう」


男性天使はまだ何か言いたげに口を開いたが……天界の長の背中から“これ以上踏み込むな”オーラを察知し、閉口した。


両目を閉じた神の真っ暗な視界に映るのは、涙を流して立ち尽くすリリア。


前世の彼女の想いは大分強く、名前や容姿が変わってもその根っこの部分は残っていた様だ。