ハピネス

ガンッ!と大きな音が、病室に響き渡る。


「――――…っ」


私の顔からは、血の気が一気に引いていた。


開かない引き出しをどうにか開けようと悪戦苦闘している内に棚が倒れ、傾いた棚から何かが落ちた。


その『何か』は昨日巴ちゃんが私と惟万理に見せてくれたオルゴールで、今は床に音も無く転がっている。


――――❝フタ❞が開いた状態で。


「あっ……」


「………!!」


通常オルゴールは、フタが開いてると音楽が流れるものだよね?


ピシッと空気が固まる中そこまで考えていた私の耳に聞こえたのは、巴ちゃんの呆然とした声。