ゆっくりとした口調で言うと、巴ちゃんは「こんにちは」としっかりと言い返してくれた。


「私の名前は早乙女 天祢です。お兄ちゃんと千熊君とは、同じ中学校の同じクラスなんだよ」


「私は石仲 惟万理。天祢と同じく2人のクラスメイトで、士源の彼女なんだけど……“彼女”って分かるかな………」


私と同じ様に巴ちゃんの前にしゃがんだ惟万理は、まだ5つの巴ちゃんに“彼女”という概念が存在しているのか、不安そうに目を泳がせた。


ところが巴ちゃんはなぜかパァッと顔を輝かせて、その場でウサギみたいにピョコピョコ跳び跳ね始める。