ガッ



ドカッ



どちらも一歩も引かず殴り合う。



目を背けたくなるほど痛々しい‥



「背けるな‥最後までちゃんと見ててやれ。アイツは他の誰でもない。お前のために戦ってる」



海斗さんに言われ、また視線を前へ向ける。




私のために‥


そう考えると何かくすぐったくて




不思議な気持ちになる。






負けないでっ!





私はここで祈ることしかできない。




そんな自分をまた無力だと思ってしまう。





「がはっ」



?!



大河さんが





押されてるっ








「大河さんっ!!」




あんなボロボロな大河さん見たことない。





あんな必死な大河さん‥見たことない。






お願い‥




「負けないで‥」





気づいたら私はそう呟いていた。





え?





振り返った大河さんがニッと笑ってまた前を向いた。






まさか今の聞こえたの?




それからの大河さんはさっきまでの動きと違った。




「コイツっまだこんなに動けっぐはぁ!!」



白鳥組の頭を押してる。







「やっと、唯ちゃんの口からお願い聞けたんや‥叶えな‥」




「あんなボロ雑巾みたいな女どこがええんや‥がはっ」





「もう二度とお前に‥大切なもんは渡さへん!!くたばりやがれ!!!!」





「ぐはぁっ!!!」




大河さんの拳が白鳥組の頭の腹に食い込みそのまま壁に吹っ飛んだ。






「はぁ‥はぁ‥これで終わりや白鳥」




勝ったの?





白鳥組の頭を見ても起き上がる気配はない。







「大河さん!」




気づいたら私は駆け出していた。





大好きな人の元へ。