「あ?誰だてめぇ…」
「何や、俺を知らんのか。俺もまだまだやなぁ…」
声をかけてきたのは大河さんだった。
「そんなことはどーでもえぇわ。その子、返してもらえへん?」
ゾクッ
顔は笑ってるけど目は笑っていない。
きっとすごい怒ってる。
「ふざけんな。今取り込み中や。他当たれや」
「っ…」
腰に回された手に力が込められた。
「汚い手で触んなや。その子は大事な子や。大人しく返せば何もせぇへんけど。どうしてもって言うんやったらこの先面に出られへんようにするで?」
「はっ!んなほっそい身体で俺に勝てるとでも思っとるんか!」
男は何も知らないで大河さんに罵声を浴びせる。
「ごめん。俺そんな気長くないねん。それはどうなってもえぇっちゅう事でえぇんやな?」
今までの笑顔は消え、鋭い目付きに変わった。
「なっなんやねん。たかが女一人やないか。兄ちゃんならもっとえぇ女捕まえられるって」
空気が変わったのが男にも分かったのか
怯みだした。
無言のまま男を睨み付けている。
「わっ分かったって!こっ…こんな女いらん!」
そう言い捨て走って逃げていった。
こんな女って…
助かったけど複雑な心境だった。
でもすごいな…なにもしてないのに…
「唯ちゃん、ホッとするのはまだ早いんとちゃう?」
あ…
そうでした。
