この時、ミカルは木の陰からずっと見ていた。歌声の主は、ミカルの1個下くらい(このとき、ミカルは5つだった)の赤毛の女の子だった。
この子の周りにはたくさんの動物がいて、いっしょに歌うかのように鳴き声をあげ、花や木々も、風が通ったときのように、心なしか揺れていた。
ミカルは、ひと目でこの子が魔法を使っているとわかった。おそらく、あの歌は一種の呪文で、動物たちや木々を操っているのだろうと。

でも、この子が悪い魔女とは思えない。だって、あの澄んだ青い瞳、笑うたびにできる小さなえくぼ、少しはねてカールした髪、どれも純粋で無垢なものにしか見えないもの。

あの子、なんて名前なんだろう。家はどこにあるのかな。なにが好きなのかな。


この瞬間、ミカルはこの小さな女の子に心を奪われてしまったのだった。