花夢には、「はなむ」と呼んでくれる友達が1人だけいる。真里だ。

「はなむ~! 聞いて聞いて!佐藤クンがね、あの佐藤クンがね、私が落としたハンカチ拾ってくれたんだよ~!どーしょー 私達、やっぱり、赤い糸で結ばれてんのかな~ ねえ~はなむ~聞いてる~?それでね… 」

あの夢、本当なんなんだろう

「…やっぱり、ただの夢か 」
「おーい、は・な・む! 聞いてんの~」
……
「あ…え、ごめん 聞いてなかった…」

真里は、空を仰いでため息をついて見せた。

「全く!はなむのことだから、どーせ また、あの夢のことでも考えてたんでしょ!あのねぇ、言っとくけど、夢の中の王子様☆なーんてなんの役にも立たないんだからね!」

「王子様とかじゃないし」

あれは、王子様なんかじゃない。
そんなおとぎ話じゃない!

あれは、なんて言うか、もっと私の近くにあるもの…だと思う…