花夢は、自分の両親のことはまるっきり覚えていない。
5歳のときにおばさんと暮らすようになったはずなのに、その前の記憶がほとんどないのだ。覚えているのは、かごいっぱいの木イチゴと、かむちゃん遊ぼ、と言ってくれた小さな栗毛の男の子だけ…
中2になった今でも、あの子の夢を見る。
かむちゃんかわいいからこれあげる と言って、幼い花夢に向かって金の小さな輪っかを差し出してくるのだ。花夢が ありがとう と言って受けとろうとすると毎回そこで、目が覚めてしまう。
あれは、本当の記憶なのかな?それとも…
あの子も夢の住人にすぎないのだろうか…
夢の中の男の子が、花夢にとって数少ない、心の寄りどころであることは疑いようもなかった。
とにかく、花夢は、両親がどこに住んでいて、どんな人なのかも何一つ知らないのであった。
まあ、こんな名前しか子どもに付けられない親だ。ろくでもない人間に違いない。そう決めつけて、花夢はここまで生きてきた。
5歳のときにおばさんと暮らすようになったはずなのに、その前の記憶がほとんどないのだ。覚えているのは、かごいっぱいの木イチゴと、かむちゃん遊ぼ、と言ってくれた小さな栗毛の男の子だけ…
中2になった今でも、あの子の夢を見る。
かむちゃんかわいいからこれあげる と言って、幼い花夢に向かって金の小さな輪っかを差し出してくるのだ。花夢が ありがとう と言って受けとろうとすると毎回そこで、目が覚めてしまう。
あれは、本当の記憶なのかな?それとも…
あの子も夢の住人にすぎないのだろうか…
夢の中の男の子が、花夢にとって数少ない、心の寄りどころであることは疑いようもなかった。
とにかく、花夢は、両親がどこに住んでいて、どんな人なのかも何一つ知らないのであった。
まあ、こんな名前しか子どもに付けられない親だ。ろくでもない人間に違いない。そう決めつけて、花夢はここまで生きてきた。



