「桐野警部補…」
「……言ったはずですよ……ッ。あんたはオレがッ…。―――っ。げほっげほっ」
「わかったから、もう無理をしないで」

爆発に巻き込まれた桐野警部補の体はとても痛々しくて耐えられなくて、自分がとても非力に思える。こんなにボロボロになってまで自分のことよりも、他人のことを心配するなんて、須田は苦しみあえぐ桐野の手を握り締める。温かい…生きていることの証。

自分があの時いやでも彼を引き止めていれば、こんなことにはならなかったかもしれない。自分が彼を止めずにすんなりと行かせてしまったから、彼は犯人の罠にまんまと引っかかってしまったのだ。

「俺の…せいで」

須田の瞳からまた涙が伝い落ち、その雫が桐野の手に滑り落ちる。

「……泣かないで、ください」