大人になって、仕事で偶然みんなと再会したんだ。そのときに気づいた。
ぼくらのひみつ基地は、あの場所じゃなくて、ぼくら5人が揃っている、この空間なんだってこと。
「うんうん。さすが、秋。良いこと言うなー。そして、この空間が成り立つのはやっぱり俺のおかげ……」
「いや、達貴は別にいなくてもいいけど!」
楓がすかさず突っ込む。あのときと同じように理恵はニコニコしていて、涼子は地味に頷いている。
「なんでだよ!?俺重要だろ!?ねえ!重要って言ってー!?俺のガラスのハート壊れるからー!いじめないでー!」
いま、ぼくらはひさしぶりにみんなで集まっている。
それからもうひとつ。
ぼくらは大人になってもあまり変わらなかった。小学2年生のときのあの秘密の会議のときみたいに、馬鹿みたいなことを言い合いながら、悩んでることバラし合って、少しだけスッキリして帰っていく。
──────…ぼくらのひみつ基地。
○…完…○



