「「「「……………」」」」

みんな一瞬の沈黙。そこで口を開いたのは、理恵。

「えーっと、じゃあ、最近パパが仕事辞めちゃったみたいで、ママがおばあちゃんに責められて泣いてたんだよね。なんか。お金が足りないんだって。」

「いや。それ、重いから。」

すかさず突っ込んだ僕に達貴も同意する。

「それは小学生の悩みじゃねぇ。もっとこう、可愛い♡♡って感じのをさぁ…。」

達貴がぶりっこのポーズをとりながら言った。すかさず楓が手を挙げる。

「はい。達貴がキモすぎて悩んでます!」

「いや、ひどくね?そういうのやめて。俺のガラスのハート壊れる。」

「いや、普通じゃね?お前のハートがガラスとかねーから。」

僕がしれっと言うと、珍しく涼子が続いた。……天使の微笑みを携えて。

「うん。達貴くんのハートがガラスとか、ないと思う。だって。達貴くんの心は、ぞうが踏み潰しても、地震があっても津波が来ても火事が起こっても、大丈夫なんでしょ?」

「おー。達貴のハートは対衝撃で耐震工事も済んでるし、防水加工や加熱、冷却も可になってるもんね。」

理恵が言う。なんか、難しい言葉ならべてんなあ。達貴にわかるのか?そう思ったら案の定。わからなかったらしい。

「おい、理恵。ボウスイとかタイショウゲキとか、タイシンなんちゃらとか、カネ…なんちゃらなんちゃらとか、難しい言葉を使うのをやめろ!俺にもわかる言葉で話せ!」

それを聞きながら理恵は爆笑し、楓は腹を押さえてうずくまり、肩を震わせて、涼子はそっぽを向きながらうつむき、ときどき堪えきれずに笑い声を漏らしている。