僕は帰宅したら町田さんにラインを送った。

『彰:今日はありがとう。話せてよかったよ。』

僕は自分でも何のためにラインを送ったのかわからない。

町田さんは本当に綺麗だった。近くで見ても透き通るような肌の美しさに見とれてしまうほどだった。顔は整っているのだが、どこが大きいとか形が綺麗といった理由もなく、何かが魅力的だった。

声は顔に似合わず意外と低かった。

『沙希:こちらこそありがとう。変な話してごめんね。』

町田さんからだった。

『彰:変な話って?』

すぐに返信が来る。
『沙希:看護師になりたくないこととか、浪人とか。』

確かに、あの時の表情には少し戸惑ったが、僕は何より町田さんのことが知りたいんだ。


『彰:話しづらいことも話してくれてありがとう。』

僕はそう打って、スマートフォンを置き、母に呼ばれたので食卓へ向かった。


 夕食が終わり部屋へ戻ると、またメッセージが来ていた。

『沙希:新藤くんは、優しいね。だから、とっても話しやすいよ。』

僕は少し彼女のハートを掴んだような気がして、心の中で小さくガッツポーズをした。

『彰:帰りの方向も同じだし、これからも帰りに色々話そうよ。』

『沙希:うん!ありがとう。じゃあ、おやすみなさい。(スタンプ)』 

いい感じだ、と僕は思った。物事が順調に進んでいる気がした。このまま毎回、練習が終わる度に一緒に帰って、お互いの話をしたい。

もしうまく行けば、帰り道にご飯にでも寄ったっていい。

これから始まるであろう青春に期待して、僕は胸を高鳴らせた。