「新藤くん、おつかれ!」
私から声をかけてしまった。

「あ、町田さん。おつかれ!」

新藤くんの身長は170cmちょうどくらい。もう少し高いのかな。172cmくらいかな…。

私は丸顔だけど、新藤くんは縦に長い形の顔で、目は切れ長の綺麗な二重まぶた。唇は私と違って、ふっくらしている。
 
よく見ると、美形なのかな、と思った。
優しい雰囲気だからもっと幼いイメージだったが、男性らしい顔つきをしている。

「町田さん、今日は練習していく?真紀が部屋をかりてくれたみたいだよ。ライン見なかった?」

「そうなんだ。どうしようかなー。」

新藤くんとまた一緒に帰ることになるのだろうか。真紀ちゃんは反対方向に帰るから、必然的に新藤くんと一緒になる。

もう男の人とは仲良くなりたくないのに、どうしてだか、毎回、「この人なら私のことをわかってくれるかもしれない」と淡い期待を抱いては、失敗してしまう。


新藤くんの場合も、そうだ。もし、同じ大学の彼と仲良くなれたら、私はこの大学に来て良かったと思えるかもしれない。

新藤くんだけは、これまでの男の子と違って、優しいかもしれない。


「じゃあ、私も練習するよ!新藤くんも行くの?」

「行くよ。」

「おーい!彰!お取り込み中わるいけど、先に飯行ってるよ!」
遠くから男子学生が新藤くんに話しかけた。そういえば、下の名前、彰だっけ。

「了解!すぐ行く!」
新藤くんが答えた。

「ごめんね、ご飯行くんだったんだね。じゃあ、また放課後!」
私は申し訳なさそうに言って、新藤くんに手を振った。

「うん、またね!」

私はトイレに向かった。