雨莉SIDE

はぁ、悠珠ってば、昔から変わらずだね。
ちっこくて可愛いし、家庭系だから料理や裁縫得意だし、学年一位の頭脳で、無自覚天然だから、男子からもモテるのに、超鈍感ときたら、そりゃ人気者でしょ。
それに比べて、あたしは、身長は女子の中で一番高くて、悠珠みたいに素直じゃないし、運動系女子だから、料理や裁縫なんかよりもスポーツの方が得意だし、テストなんていつも悠珠の一個した……。
悠珠が妬まれる理由も納得できるのが幼馴染として辛い。
嫉妬すること多いけど、それでも悠珠がいい子だっていうのは誰よりもあたしが一番知ってるはず。
長い間一緒に過ごしてきて、嫉妬する倍以上にいいところを見つけてきたし、嫉妬するけどその倍以上に、悠珠が、大好き。

そして、悠珠の隣で笑ってる時が好き。
でも、もうすぐ、この場所は怜くんに譲ってあげなくちゃいけないんだね…。
あたしは気付いてる。
悠珠と怜くんが両想いだってこと。
何より、あたしの好きな人も悠珠が好きな事に。
悠珠を見に来る度に悠珠と仲よく話してる、珠都くんが好きなんだ。
だけど、珠都くんは悠珠が好きなのを分かってるから何もできない、ただの顔見知りのまま。
悠珠から離れることもできないあたしは、怜くんにこの場所を譲るのか悲しくて。
だから、これ以上あたしは、悠珠の側にいてはいけないんだよ。


悠珠には悪いけど、もうサヨナラの時間。

悠珠、今まで幼馴染として、信友として、信頼してくれてありがとう。
これからは、この場所に怜くんがいてくれるから、それまではここにいさせてね。

何より、大好きな悠珠。
小さな体で色んな事抱えて、本当に偉い子。
だからね、悠珠。
元気で。