悠珠SIDE


『なぁ、悠珠?』

そういってりとくんが話しかけてくる。

『ん?りとくん、どした?』

と返事をすると。
不機嫌オーラバンバンの怜先生の視線を感じた。
少し怖かったが、無視してりとくんが指差す方へ目をやると、あたしが唯一信じれる通常クラスの幼馴染【紗倉雨莉ーサクラアマリー】がいた。

『りとくん、教えてくれてありがと。』

笑顔でそう答えると、怜先生の不機嫌オーラが増した気がした。
それを気にせず、あたしは雨莉の元へと小走りする。
普通の保健室なら小走りする必要も無いはずだけど、あたしの学校は少し変わってて。
保健室のドアが2個あるの。
それで、室内用表ドアから入ると、中が見えない構造になってて、保健室内に設置されているドアの存在が分からないようになってるの。
でも、室外用裏ドアから入ると、ドアを開けたとき、中が丸見えで構造が分かるようになってるの。
だけどね?
室外用裏ドアは保険医と保健室登校の生徒と生徒の関係者2人だけにしか伝えないことになっているの。
室外用裏ドアの存在を知っているのは
保険医の怜先生と雨莉とあたしのママ。
りとくんのお姉さんの珠華ーリンカーさんと妹さんの珠恋ーリンコーちゃんだけ。
だから、ちょっと小走りしないと距離が遠いんだ(泣)

『おはよう、雨莉。今日は、どうしたの?』

『どうしたもこうしたも、あんたまた何かしたの?怜くんご立腹じゃん。』

なんて言いながらいきなり笑い出した。

『何で、雨莉そんなこと言うの?あたし何もしたつもりないよ?それより、何の用事?』

すると雨莉は

『何もしたつもりもないって?あんたは、ほんと小さい頃から無自覚天然鈍感女子ね。これ、絶対だわ。あ、今日雨だし、ここでお弁当食べてもいい?』

小さい頃からって、雨莉も酷いよ(泣)

『あ、ちょっと待ってね?』

そして、あたしは不機嫌な怜先生の元へ小走りで進んだ。