「無理にとは言わない。けれど、凛ちゃんが苦しい思いをしているならいつでもここへおいで。力になるよ。」

コクン

下を向いたまま頷くことしかできない。

先生が悪い人じゃないってわかるけど、自分自身のことを喋ろうとすると身体が強ばって息をすることすらも困難になる。

「…今日は帰ります。すみません。」

この小さな声は先生に届いてるかな。

でも、もう一度聞こえるような声で言う余裕なんてない。


早く学校から出よう。


私はマスクを外して顔を晒していることも忘れて慌ただしく図書室を後にした。


その姿を本棚の影から見られてしまった事に気付かずに…。