「ごめん。お願いがあるんだけど。席変わってくんないかな?」

「えっあの…俺は。」

あいつの声だった。
いつものあのすました声色ではなくって、どこか冷たかった。


「変わってくんないかなって俺は言ってるんだけど、駄目なの?」

何?この人。
何でこんなに怒ったような口調なのよ。
私の心の痛みも吹っ飛んでしまった。

「かっ変わるよ…ありがとな。はは…。」
「俺はいくらくじ制の席替えでも、いやいや座られたらたまったもんじゃないからね。」

いつもと同じような声色に戻ったあいつ。
まったく掴めない。

「悪かったな。東条。」
「いえ。私は全く気にしていません。お気になさらず。」
「おう。」
そう言ってそそくさと交換した席へと移動していった。

はぁー。
でもなんで…

あいつが隣なのよー!!!!

嫌。

それならあの男の子の方がまし!