春。新学期。
去年と同じようにまた真面目にひっそりと過ごすんだ。
…なのに。
っ…なんじゃこりゃーーーー!!!※心の声です。※
なんでこの人が同じクラスなのよ!!
新学期のクラス替え表を目の前に私の心はボロボロになりかけていた。
学年で1番、いや…学校で1番目立っている篠塚 奏翔。
あいつのおすまし顔が私は気に入らない。
漆黒の髪に、切れ長の目。真面目な感じを出しながらも無造作にセットしたヘアスタイル。
なんかムカつく(ーー゛)。
真面目な雰囲気出すならちゃんとしろー!
白黒つけなさいよ。って思うのよね。
そんなこんな心で愚痴っていると…
…っドンっ
「あ、ごめんなさい。」
「そこ、じゃまなんだけど。見たんだったらどいてくれない?東条 凛さん?」
人を馬鹿にしたような笑みを浮かべる篠塚 奏翔。
こっ…こいつ~!!!本当にムカつく!!
「すみません。お邪魔してしまって。失礼します。」
私はそう冷たく言い放って教室へ向かった。
「はぁ~。冷たい人だなー。まっそれもそれで楽しみが増えたか。」
「え?何の楽しみが増えたの?篠塚くぅん」
「ん?なんも?」
クラス表を横目に凛の背中を追う。
(東条 凛 …ねぇ。 これから楽しみだな。)
不敵な笑みを浮かべながら、その場を去った。
新学期早々ほんとむかつく!
平穏な学校生活を送ってくはずだったのに!
でも、良い方向に考えたら、篠塚 奏翔が目立ってくれるお陰で私の影も薄れて一石二鳥かも。
うん。静かに過ごせそう。
そう自分に言い聞かせて教室の扉を開けた。