あの図書室の出来事から数週間、凌先生の所へ行っていない。

どーしよ。行きたいけど、足がすくむ。

先生があの時かけてくれた言葉。本当に嬉しかった。

だけど、1歩先に踏み込む勇気は今の私にはない。


はぁー。どうしたらいいのよ!

「…ぅ…おい!東条!」

「…はい。」

「この問題、解け。」

「はい。」

今は生物の時間。

あーもう!なんでよりによって苦手な教科で考え事なんてしてんのよ私!

わかんないし!

「おい。東条。早く答えろ。」

先生の言葉がどんどん私を責め立てていく。

どうしよう、分かんない。

「えっと…わか…」
ガタリっ
隣から何かが落ちる音がする

「っいってー。」
「おい!篠塚!お前寝てたのか!?」
「すんません。先生。ここんとこ寝れてなくて。」
あいつはぽりぽりと頭を掻きながら答える。
「ちゃんと起きとけよー。ったく。」