夕日が今日も校舎と溶け合いながら夜を告げる。

帰宅時間か。そういえば今日は奏翔と帰る日だっけなー。

奏翔の奴怒ってるだろうな。
いつものように
『兄貴おせぇよ。ま、別にいいけど。』
と言われるんだろうけど、


「俺に何が出来るんだろうな。」


ふと帰宅準備の手が止まり今日の凛との出来事がよぎる。


あの凛ちゃんの悲しみを堪えた苦しそうな顔。

あの表情、昔も見たことあったな。


凛ちゃんの心からの笑顔が見たい。
そのために俺が凛ちゃんに出来ることは何なんだろうな。


ガラガラー…


誰だ?

「おい、兄貴おせーよ。」


「おぉすまんすまん。今、帰りの準備してたとこだ。」


「ったく毎度毎度。まぁ、別にいいけど。」

やっぱり。
奏翔、お前はそうなんだな。

自然と頬が緩む。