君を想う



謝った方がいいよね。
結局、あの人が彼女達に話してくれたから謝ってもらえたんだし。


帰りかけたのを引き返し、3階フロアにエレベーターで上がって行った。


「たしか、開発事業部は営業部と反対方向だったよね……あっ!あった」


本当に、藤崎斗真の他に居ないのかな?


そっと、中を覗き込んだ。

「……誰も居ない」

藤崎斗真もいない。
残業は無くなったのかもしれない。
居ないなら仕方ないよね帰ろう。


「開発事業部に用か?」

ドキッ!!
開発事業部の人?
こっそり覗くように何かを見ていた事が後ろめたくて……どうしようと躊躇した。


「藍川里奈、こんな所で何してるんだ」

もう一度聞こえてきた声にホッとして振り返った。


「……さっき中里さんに会いました」


「あっ、そう。だから?」

どうでもいいって感じの冷たい言い方。
さっき逃げてしまったから、きっと呆れて私とはもう話しもしたくないのかな。でも謝って、あと噂を止めてくれたお礼だけは言わないと。

「藤崎さんが噂を流していた女子社員達に言ってくれたんですね?食堂であった時に言ってくれれば良かったのに」