君を想う



「……美味しかった」


「えっと……それは良かったです……っていうか勝手に食べないで下さいよ」


「もう一切れあるから、いいだろう」


「良くないです」


「さっき話した噂のことだけど、落ち着いたみたいだな」


「その事なら経理部の女の子達が訂正してくれたようなんです」


「良かったな。あっ、そういえばうちのとこにも経理部の女達が勘違いだったって言いに来てた」


「そうですか」


「それで、お前は気がはれた?」


「そうですね……二人で会っていたのはホントのことだし勘違いされたのは仕方ないですし……。訂正してくれただけでも良しとしないと」


「俺だったら詫びぐらいは入れさせるけど」


「詫びですか……」


あの悪魔のような顔で睨まれて低く恐ろしい声で謝れと脅されたら……。
藤崎斗真が経理部の女の子達を脅しているところを想像してしまった。


「おい、悪魔ってなんだ」


「……言ってませんよ。そんな悪魔だなんて……」

何で分かったの……?
心の中だけの声のはずなんだけど……。



「……もしかして声に出ちゃってましたか?」


「しっかり聞こえてたけど」


じとーっと睨まれた。