君を想う



帰りが心配だったから傘を少女に貸してやった。

傘は貸したままでも構わないと言ったが少女は返したいと言い張り次の日に会うことになった。
返して貰って直ぐ帰るはずが少女が通っている学校が俺の出身校だと分かり懐かしさから誘われるままにその高校の陸上部の練習を見に行くことになった。


学校に行く途中、何気ない会話をしているうちに少女が言った。


「私……ずっとやってみたいなって憧れている仕事があるんです」


「目標あるんだ?」


「でも……私じゃ無理だと思います。……美人じゃないから」


「えっ!?美人?……君のやってみたい職業ってどういう仕事なの?」


仕事に美人はあまり関係ないと思うけど。


「笑わないでくださいね。自分でも似合わないって分かってるから……受付嬢です」

受付嬢になりたいと言った少女。
目標があるのなら頑張ってほしいと思った。


陸上部の練習を見た後、少女とは学校で分かれた。
もう会うこともないだろう。
そう思って少女のことは忘れていた。

数年後、この子が受付嬢になって目の前に現れるとはこの時は思いもしなかった。