君を想う



「わざとなんて、どうしてそんなことを?」


「……藍川にはきっと分からない」


「ちゃんと話してくれれば分かります」


「自分を低く見すぎ……卑屈になっている今の藍川じゃ分からない」


私が……卑屈になっている?


「ずっと、藍川に言いたい事があったんだけど。オレは別に宮内さんの事なんて何とも思ってないから。
何かと彼女の名前を出すのやめてくれる?そういうの迷惑だから」

まともに返事を返せない内に降りる駅に着いてしまった。
藤崎斗真に声をかける事もできずに黙ったまま電車を降り改札を抜けて駅を出るともう雨は上がっていた。



自分を低く見すぎ……か。
仕方ないじゃない、私には飛び抜けてこれといったものなんてないんだから。


今の受付の仕事はずっと憧れていた。
ある人が言ってくれた。目標があるのなら頑張ってやってみなって……だから自分なりに勉強して秘書検定2級も取って今の会社の試験を受けた。


ダメもとで自信がないまま受けた試験は採用通知が来て受かったと分かり嬉しくて夢じゃないかと通知を何度も確認してしまった。