君を想う


落ち着かない……。
この状況……藤崎斗真と1つ傘の中。
というか男の人と同じ傘の中、今までだったらありえない。


ふと横にいる藤崎斗真を見上げると唇をキュッと引き結び考え事をしているようだった。
見上げていた私に気付いたのか考え事を終了したのか藤崎斗真は私と視線を合わせた。


「どうした?」


「別に……」


駅に着くと、イケメンはやっぱり注目の的。

電車待ちでホームに立つ。
当の本人はスマホを覗いていていて気付かないのか、わざとやり過ごしているのか。視線には興味ないようだ。
この人には、いつもの事なのかも知れないけど……。

後ろからある会話が聞こえてきて。
それを聞いた時、藤崎斗真の隣に立つのが恥ずかしくなってしまった。

そっと藤崎斗真とのあいだを少し開けた。
これならただ同じ場所に立っているだけの人に見えるだろうと思った矢先に藤崎斗真はスッと距離を詰めてきた。
あいだを開ける前よりも近付いたような……。


「もう少し離れてもらえませんか?」

聞こえていたはずなのに、藤崎斗真はスマホから視線を外すことなく動いてくれなかった。