君を想う



「女と言い争いをして、その女が居なくなったのにいつまでも傘をささずに雨の中で突っ立ったままなんて、やっぱり馬鹿らしい、人通りの多い場所でいい見世物だろう」


雨の中で傘もささずに……馬鹿らしい……。
藤崎さんが馬鹿らしいと言った相手が駅で見かけた男性にではなく高校の時に傘を差し出したあの人に向けられているような気がして来てしまい……。


「違いますっ。あの人は馬鹿じゃない。私が困っているのに助けてくれたんです」


「……誰の話しだ?その男は知らない人って言ってなかったか?」


「あ……。この話しは、もういいです。それより、まだですか?そろそろ帰りたいんですけど」


「報告書なら、もう書き終わってる。それよりさっきの助けて貰ったって話し、その男の話しより気になる」


「えっ……」


気になると言われても、この人に私の思い出話しなんてする気はない。