君を想う



「あの……藤崎さん?」


「なんだ?」


「ちょっと訊きたいことがあるんです?」


「訊きたいこと?なんだよ?」


「前にですね……知らない人なんですけど藤崎さんに似た人を駅の近くで見かけた事があるんです」


「俺に似たやつ?いつ?」


「藤崎さんに初めて喫茶室で会う少し前です。雨が降っていて会社に行く途中の駅で……女の人と言い争いをしていて多分、傘を持ってなかったんだと思います。女の人が傘のなかに入れようとしたら拒否して女の人は走って行ってしまったんです。それで、その人は、雨に濡れたまま暫く立ち尽くしていました」


「もう、いいっ」


「えっ……」


「それ以上、聞きたくないって言ったんだ。要するに雨の日に駅で俺に似た、まぬけな男をお前が見たって話しだろう?」


「まぬけなんて言ってないです。」


「どうでもいいけど、それ俺じゃないから、そんな男と似てるなんて聞きたくない」

何故か怒ってるみたい。その人と似ているって話し、不快だったのかな……。

「怒るような事ですか?」