君を想う



中里さんと二人っきりか。

「藤崎さんから聞いたんですけど、今日のために私でも楽しめるようなところを探してくれたって。
ありがとうございます」


「その言葉は藤崎に言って。最初、里奈ちゃんに断られたって藤崎に話した時にあいつが言ったんだ。里奈ちゃんは遠慮して断ったんじゃないかって、だから里奈ちゃんが楽しめるような所を探そうって話しになってさ。
藤崎が気付いてアドバイスくれて僕は探しただけだから」


気付いてくれたのは中里さんじゃなくて藤崎斗真だったんだ。


「そうだ。瞳子ちゃんと会った?瞳子ちゃん具合が悪くなったみたいだよ。藤崎がタクシー拾える所まで送ってくって一緒に行ったけど」


「瞳子さんには会いました。藤崎さんは多分戻っては来ませんね」


「藤崎なら戻ってくるはずだよ」

「でも、瞳子さんは二人で抜けるって言ってました。戻って来ないですよ」


「それはないよ。あいつのバッグ預かってるし」


バッグ?


「ほら、これだよ」


「これ中里さんのじゃないんですか?」


「僕のはこっち」

中里さんはバッグを二つ見せてくれた。
本当に戻って来るなら瞳子さんは……。


「藤崎、戻って来た」


藤崎斗真は長橋さんがのいた所に座った。


「瞳子ちゃんは?」


「ちゃんとタクシーに乗せたし、しっかり歩けてるようだったから大丈夫だろ」