「俺は自分を…… 可哀想だなんて思いたくない」 校庭から聴こえる 早とちりな6月の蝉の声が 一瞬 遠のいた。 残された空間に落ちた言葉は、 特にすごい格言を言ったわけじゃない。 だけれど、俺の世界が震えた。 「もう………これ以上だれにも 迷惑かけたくない……… 誰かが俺を泣く度に……… 俺が惨めになっていくんだ」