生きたがる少し前。





「……………ごめん河上、ありがと」





名前を呼ばれたのは、
これが初めてだった。





「お前…………俺の名前知ってんだな……?」




思わず思ったことを
まんまに口にすると、
柏木は俯いたまま答えた。




「河上だって、
俺の名前知ってたろ」