昼休みになると、グループの子達と一緒に弁当を食べる。

私は食事が喉を通らなかった。

「だめだ、食べれない。」

そう私はつぶやいた。

私は面談の予定表を見た。まだ15分ある。
まだ早いが、早すぎることもないかもしれない。

「面談に行ってくる。」

購売で買ったサンドイッチを食べ終わった古賀美ちゃんがついていきた。

がやがやと騒ぐ生徒達のあいだを縫って、私達は職員室に向かった。

行く途中、まりちゃんの話になった。

「まりちゃん、留学するんでしょ?」

わたしがそう言うと、古賀美ちゃんは林長さんと言い直した。

「林長さんね。うん、そうらしいね。」

きっと、文化祭の準備のことで、含みを持たせているのだろう。

一人の女の子とすれ違ったとき、古賀美ちゃんが口を開いた。

「さっき、昔虐めてた子と、目が合ったら、ごめんなさいって口パクで言われちゃった〜!
ごめんごめん、そんなつもりじゃないんだって〜!」

私は素直に感心した。

「私ならそこまで考えないよー。」

言ってから気がついた。これはいわゆる虐めでは無いだろうか。

時既に遅し。さっきの女の子はもう行ってしまっていた。



職員室前の質問コーナーで、面談は行われていた。

見ると、まりちゃんが先生と話していた。いないと思っていたが、面談だったのだ。

「どこの大学に行きたいの?」

先生が聞いた。

「早慶大学です。」

私は聞いてしまったことを後悔した。

あの子は確かクラスの子達には、東北大と言っていたはずだ。

私と古賀美ちゃんは、職員室にのすぐそばにある階段を上がって、話が聞こえないところで待つことにした。

中学生のはしゃぎ声が聞こえる。職員室は、中学校棟にあった。

中高一貫なので、中学校と高校の職員室が同じなのだ。


時間になると、私は職員室の方へと向かって行った。
古賀美ちゃんは帰っていった。