鹿の剥製と目があったところで、私は目が覚めた。
コンタクトの入っていない目でぼんやりする部屋を眺める。

ずいぶんと昔の夢を見たものだ。
私は自分の胸元を見下ろした。そこには夢で見たペンダントが掛かっている。

時計を見ると、もう7時だ。

「まずい!」

そう言って、学校に行く支度を始める。

生憎、前日に準備をするタイプではない。
今日は英語に物理に数学に、古文、そして国語に体育だ。

寝起きでぼーっとする頭をフル回転させて、バッグに教科書を詰めていく。

わたしの行っている高校は私立なのでバッグが自由で、友達なんかアナスイのバッグを使っているくらいだ。

そういう私も、アニエスベーのバッグを使っている。

グリーンを基調にした制服を着込むと、朝食を食べに、一階に降りて行った。